1年前の北朝鮮の核実験失敗について、世間一般で最も多く言われていた意見は以下のようであった。
そして、私もほぼ同様の意見を持っていた。
①北朝鮮は、ミサイルに搭載するための小型核兵器を開発し、実験した。
②しかし、技術力が不足しているため、結果的に実験には失敗した。
③この技術力不足は当面解消されそうにない。
しかし、実験失敗後1年たった現在、改めて当時の状況を考え直し、私は上記の推測が間違いであることを確信するに至った。
理由は後述するとして、事件の経緯をもう一度振り返ってみる。
・北朝鮮から中国へ「4キロトン規模の核実験を行う」と通告。
・北朝鮮が核実験を実施。各国で地震波を検出、後に推定規模が0.5キロトンとされた。
・地震波の波形を分析した結果、早期爆発と呼ばれる核実験失敗時特有の波形であることがわかった。
・米軍が朝鮮半島周辺の上空で大気中の放射性物質を検出。
・行った核実験はこの1回のみ。北朝鮮は「核実験は成功」と発表した。
この経緯の中で、上の推論では説明のつかない箇所が1カ所ある。それは何か?
それは「行った核実験はこの1回のみ」という部分である。
インドやパキスタンの核実験の時を思い出して頂きたいが、核実験は続けて複数回行われる行われるのが普通である。
インドやパキスタンが実験を行ったのは失敗をしにくい「ウラン型核爆弾」である。
そうであっても、信頼性確保のために何度も実験を行っている。
今回北朝鮮が行った核実験は「プルトニウム型」と予想される。
「プルトニウム型」は「ウラン型」よりも核爆発の失敗の可能性が高い。
原子炉でプルトニウムを製造すると主に生成されるのが核兵器の材料となるPu239で、他に自発核分裂性同位体のPu240などの同位体が同時に生成される。
そしてこの少量のPu240はPu239よりも一瞬早く核爆発しようとする性質があり、これが核兵器の障害となるのだがこれを分離除去するのは簡単には出来ない。
Pu240の割合が高い場合、あるいはPu240が少量でも起爆装置が不完全な場合等には、この一瞬早い小さな核爆発が核爆弾そのものを破壊し、残りの大部分のPu239が核爆発を起こせなくしてしまう。
これが早期爆発と呼ばれる物で、今回北朝鮮が核実験に失敗した原因と言われている物である。
この問題があるため、プルトニウム原爆を製造した場合はその起爆装置、Pu239の純度あるいは他の何かに問題がないかどうかの確認のために実験を行うのが普通である。
例えば20キロトンの核兵器の実験をしたとして、結果15キロトンの威力かも知れないし10キロトンの威力かも知れない。
その威力が落ちたのは何らかの原因があってのことで、原因を調べるためにあらゆるデータを取得する。
この取得したデータが今後の核爆弾の性能向上に生かされる。
そして1回の核実験だけではその信頼性を確保できないので、通常複数回実験を行い再現性を確認するのが当然である。
しかし北朝鮮は1回しか核実験を行わなかった。これは不自然である。
北朝鮮の核実験失敗についてこれまでに行われた推測の中で、1回しか実験を行わなかった理由について明確に示した物を私は見たことがない。
全てのことに必ず理由はあるのだ。
この理由について明確に示していない推測は、不完全な推測だと言わざるを得ない。
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コメント
投稿者: いかれる市民 | 2007年10月10日 11:18
投稿者: ういんぐす | 2007年10月11日 02:30